
喉の症状
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンとは?
脈拍数や体温、自律神経の働きなど、からだの「新陳代謝」を調節する役割を担っています。
通常は多すぎたり少なすぎたりしないようバランスが保たれていますが、甲状腺ホルモンは十分に供給されているのに、標的組織の作用に異常があってホルモン作用が発揮されない場合、ホルモンの分泌自体が減ったり、増えたりした場合、ふるえやイライラ、体重減少など様々な症状を引き起こし、生活に支障が出てきます。

甲状腺ホルモンが乱れる原因
その1
炎症
甲状腺の炎症には、急性、慢性とその中間の亜急性があります。急性、亜急性炎症の場合には、発熱、疼痛などの他に、炎症で甲状腺瀘胞(甲状腺ホルモンの貯蔵庫)が破壊されて、一時的に甲状腺ホルモンが過剰に流出し、機能亢進状態になります。炎症の消失とともに、元に戻ります。
慢性の甲状腺炎は橋本病とよばれるもので、自分の甲状腺組織にリンパ球が反応し組織が破壊されホルモンの一時的な過剰となります。それが長期間続き、甲状腺組織の繊維化をおこすと甲状腺の腫大とホルモン産生低下が起こります。自己免疫疾患のひとつで、治ることはありませんが、多くはコントロールが可能です。
稀に、悪性リンパ種が隠れていることがあるので、注意が必要です。橋本病で甲状腺の腫大と繊維化が著しい場合や癌の合併が疑われる場合には甲状腺摘出術を行なうことがあります。
その2
腫瘍
甲状腺の腫瘍は意外に多く、癌検診や他の病気で耳鼻咽喉科に来られた時に見つかることがあります。
小さな腫瘍であれば症状が無いことが多いのですが、頸部の腫大や物を飲み込むときの違和感、しわがれ声(嗄声)などを訴える方もいます。
甲状腺ホルモン異常で起きる症状
ホルモンの多すぎる場合
汗をかきやすい
身体がのぼせる・暑がり
体重が減る
イライラする
集中力が下がる
動悸・息切れがする
手指がふるえる
月経の回数が減った、または無月経
喉元あたりが腫れたり太くなる
眼がらんらんとしている

ホルモンが低下している場合
疲れやすい
寒がり
体重が増える
身体がむくむ
眠気が強い
記憶力低下
筋力の低下・動作が遅くなる
無月経
喉元あたりが腫れたり太くなる
まぶたが腫れる

検査・治療方法
検査
触診
触診で甲状腺の全体の大きさ、硬さ、周囲との関係、腫瘍の有無や性状を詳しくとらえます。
触診の補助として超音波(エコー)検査も行います。
超音波検査(エコー)
血液 検査
血中甲状腺ホルモン(T3,T4)、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体など)、サイログロブリンなどを測定します。
CTスキャンやシンチグラム
腫瘍がどうゆうものであるかという質的診断にはCTスキャンやシンチグラムを用います。
治療方法
薬剤治療
甲状腺ホルモンの合成と分泌を減らす、または増やす薬を内服します。
ホルモン分泌量が基準値内となれば、徐々に内服量を減らし最少量の服薬でも甲状腺ホルモンが基準値内で自己抗体が陰性になった場合、服薬中止を検討します。
甲状腺摘出手術
薬でコントロールできなかったり、薬に対するアレルギー反応や血液成分(顆粒球)の減少を起こしたり、薬を使えない場合等には、甲状腺を切除する手術をすることがあります。